ロビンソン・クルーソー
ロビンソンでは、死は最も重苦しい。これ以上に退屈な小説は思い当たらない。まだこれを読んでいる子供を見るのは、つらいことだ。ロビンソンの世界観は、ただひたすら所有にある。これほど道徳的な所有者は、かつて誰も見たことがない。
(中略)
ロビンソンの伴侶は、イヴではなく、フライデーである。彼は労働に従順な、嬉々とした奴隷であり、余りに早く人類学に飽きてしまう。健康なあらゆる読者は、彼がついにロビンソンを食べるところを見たいと夢想することだろう。『無人島』1953-1968 ジル・ドゥルーズ 監修 前田英樹 河出書房新社
フライデーは善良な人間として描かれているが、もし食人の風習を持っていたとしたら、エイリアンの侵入した宇宙船のように、島は悪夢の島と化す。現代人にはそちらのプロットの方が好みなのだろう。若い男女が無人島に漂着するという設定は魅力的であるが、いがみあっている者、価値観が違う者、暴力をふるう者同志が限られた領域に閉じ込められたとしたら、一体何が起きるのだろうか。無人島に限らず、店舗、支所、派出所といった場所で、現実にはどのようなことが起きているのだろうか。全く口をきいたことのない気の合わない相手と出張に行かなければならないとしたらどうだろう。
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