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2007年10月11日 (木)

救世主村 第二部 28 大江戸温泉物語

 集合場所は東京物語ではなくて、大江戸温泉物語だった。お台場のね。他の姉妹たちはまだ着いていなかったので、先に温泉につかって待っていようということになった。浴衣を選べるというので、雷電の浴衣を選んだ。おれは初めてだったが、カズエたちは慣れているようだ。こんなところを転々としているような生活なんじゃないだろうか。もしそうなら哀れなものである。

 大広間ではカンカラというお笑いグループがしつこいぐらいに客いじりをしていた。自分がいじられないように目線をそらす。「ちょっと、そこのお父さん」などと言われて舞台に上げられたくないからな。天丼を食べて足湯につかって、羽田空港に発着する飛行機を眺めている。さて、これからどうしたものか。昨日は四人の美女の中から結婚相手を選べると聞いて舞い上がっていたが、いくら美女だからといっても、悪い奴らじゃないか。そんな女と結婚してどうするというのだ。美女を抱きたければ高級な風俗店にでもいけばいい話であって、結婚する必要などない。第一おれは子供が嫌いだし。

 逃げようか? 金も美女もいらない。自由を束縛されるのはいやだ。うまそうなエサに誘われて近寄ったはいいが、そこはゴキブリホイホイだったりして、二度と逃げ出すことはできなくなるにきまっている。おれは気ままに旅を続けて、どこかで野たれ死にでもしようかと思う。

 カズエもカズエの父親も、おれが逃げるなんてことは考えてもいないのだろう。監視もせずに、温泉につかったり、土産物を物色したりしている。つまり、金が戻ってくるということ、美女と結婚できるということでおれを縛ったつもりなんだと思う。そういうのが嫌いなんだな。いくら好条件だって、縛られるのはごめんなんだ。

 おれはトイレに行くふりをして、更衣室に入り、誰にも監視されていないことを確認してから勝手に退館したのだった。

 日の出駅でゆりかもめを降り、日の出桟橋から水上バスに乗る。このまま隅田川をさかのぼって浅草に行くつもりであるが、浅草に行く理由は何もない。

カモメが水上バスについてくる。いったいいつまでこのウンザリする話は続いていくのだろうか

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